【産声が聞こえた】障がい児とわかっていた我が子の、希望の出産日記

「病気の赤ちゃんと、どうやって出産を迎えるんだろう…」
そんな不安を抱えて、このブログを見つけてくださったあなたへ。
この記事では、【病気を持つわが子の“出産当日”】を、わたしたちの実体験としてお話しします。

2021年10月5日。
「えっ……今日、出産!?」
妻からの連絡に、思わず声が漏れました。
予定日は11月。それなのに、1ヶ月も早いなんて——。
妻はこう言いました。
「今朝から、赤ちゃんの酸素濃度が下がってるみたい。
このままだと苦しくなるから、帝王切開するんだって」
ーー実は、私たちは前々から医師にこう告げられていました。
「お腹の中にいるうちは大丈夫。でも、外に出たらどうなるかは分かりません」と。
覚悟はしていた——そのつもりでした。
でも、いざその瞬間が訪れると、頭が真っ白になって何も考えられませんでした。
「せめて、産まれる瞬間だけでもパパに見せてあげたい」
そう看護師に言われ、私は手術室へと通されました。
この記事は以下の記事の続きになります。

出産前の診察は“もしも”の連続だった
少し話は遡ります。
妊娠後期、私たち夫婦が向き合っていたのは、「心臓の肥大」「出生後の呼吸不全の可能性」「脳室の拡大」といった、聞き慣れないけれど重大な現実でした。
週に一度の診察。エコーを見ながら、医師は言葉を慎重に選び、丁寧に説明してくれました。けれど、その内容は毎回、不安が募るものでした。
エコーで分かることはほんの一部

「羊水検査をしてみませんか?」——ある日、医師からそう提案されました。
実は妊娠中のエコー検査では、赤ちゃんの「形の異常」はある程度分かっても、「病気の詳しい原因」までは把握できません。
そこで、より詳細に調べる方法として羊水検査が提案されたのです。
もちろん、検査を受けたとしても原因が特定されるとは限りません。
私たちは悩んだ末、この検査を受けないという決断をしました。
(この判断については、また別の記事でお話しします)
告げられた“もしも”の未来
「産まれたあと、自力で呼吸できるかはわかりません」
医師からそう告げられたとき、“もしも”が現実になってしまったらどうしようという恐怖で、胸が締めつけられるようでした。
お腹の中では元気に動いているのに、なぜこんな話をされなければならないのか。
私たちは現実をすぐに受け止められず、ただ毎回、診察室を出るときに「でも、大丈夫ですよ」と誰かに言ってほしい——そんな思いでいっぱいでした。
それでも、医師が曖昧な安心を与えることなく、事実と向き合う姿勢を貫いてくれたことには、今では感謝しています。
“そのとき”に向けて、少しずつ覚悟を固めていけたのは、あの誠実な説明があったからこそだと思っています。
そして、私たちは確かに、出産の日が近づいているのを感じていました。
突然の緊急手術——それでも、願いはひとつ
入院の日
胎児の状態を詳しくモニタリングするため、妻は入院しました。
安心できる環境で、少しでもお腹の中で過ごせる時間が増えれば——
そんな希望と不安を胸に、静かに経過を見守っていました。
けれど、“その日”は突然やってきました。
突然の出産

予定日より1か月も早く、緊急の帝王切開が決まりました。
「赤ちゃんの酸素濃度が下がっています。このままだと危険です」
私たちに選択の余地はなく、すべてが医師の判断で進んでいきます。
私は、手術室の中へと案内されました。
分娩の瞬間だけでも、パパに見せてあげたい——看護師さんのその言葉に背中を押されて。
無機質な手術室には、機械の音と、医師や看護師たちの慌ただしい声が響いていました。
私は部屋の端に立ち、何もできないまま、ただ見守っていました。
まるで、自分が映像の中に入り込んでしまったかのような——
どこか現実離れした、不思議な時間が流れていました。
そして30分後——
「オギャアッ!」
手術室の静寂を破る、力強い産声が響きました。
その瞬間、私はすべての感情が一気に押し寄せてきて、
ようやく、現実に引き戻された気がしたのです。
赤ちゃんの第一声と、初対面の記憶
ーーああ、泣いてくれた。
その一声に、胸の奥が一気にほどけるような気がしました。
「この子は、生きようとしている」
確かに、そう感じた瞬間でした。
私はすぐに妻のもとへ駆け寄り、「よかったね」と、ただ一言。
妻も私も、気がつけば静かに涙を流していました。
「ありがとう。生まれてきてくれて——」
その瞬間、私はようやく“親”になれた気がしました。
ここから、長男ーこいたまー との暮らしが始まります。
もちろん、生まれてからも不安は山ほどありました。
けれど私たちは、ひとつひとつの出来事に向き合いながら、確かに歩みを進めてきました。
そして今、あのときは想像もできなかった“幸せ”を、家族で育んでいると感じています。

障がい児を育てる方たちへ
ここまで、こいたまの出産ストーリーを読んでくださり、
ありがとうございます。

障がいがある赤ちゃんを迎えるということは、想像を超える不安や葛藤に向き合うことだと思います。
私たちも、出産のあとに待っていたのは、NICUでの生活、病名の確定、治療や今後の暮らしへの不安でした。
でも——
一つひとつ、ゆっくりと解決していく中で、
「障がいがあるからこそ生まれる優しさ」や
「自分たち家族にしかない幸せの形」に気づけた気がします。
このブログでは今後、私たちが感じてきた悩みや、乗り越えてきた工夫を記事にしていきます。
「不安があっても、ゆっくりでいい」
そんな気持ちで、一緒に歩いていけたら嬉しいです。
ぜひ、次回の記事も読みに来てくださいね。
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